各種ハラスメントは増加傾向にあり、厚労省「令和3年度個別労働紛争解決制度の施行状況」によれば、「いじめ・嫌がらせ」に関する民事上の個別労働紛争の相談件数が過去最高という状況にあります。
そのため、近時、「労働施策の総合的な推進並びに労働者の雇用の安定及び職業生活の充実等に関する法律(いわゆる「パワハラ防止法)」が成立し、厚生労働省は、パワハラ(パワーハラスメント)の具体例を明記したうえで、事業主がパワハラに関する講ずべき措置として「事業主が職場における優越的な関係を背景とした言動に起因する問題に関して 雇用管理上講ずべき措置等についての指針」を作成しました。
また、厚労省は、
セクハラ(セクシャルハラスメント)に関しては「事業主が職場における性的な言動に起因する問題に関して雇用管理上講ずべき 措置等についての指針」、
マタハラ(マタニティハラスメント)に関しては「 事業主が職場における妊娠、出産等に関する言動に起因する問題に関して雇用 管理上講ずべき措置等についての指針」、
ケアハラ(ケアハラスメント)に関しては「子の養育又は家族の介護を行い、又は行うこととなる労働者の職業生活と家庭 生活との両立が図られるようにするために事業主が講ずべき措置等に関する指針」を定め、
事業主としての講ずべき措置を求めています。
以上のように、企業は、ハラスメント事案の対応を適切に対応することが求められているため、その対応を誤る場合には、職場環境の悪化を招くだけでなく、法的紛争に発展して事業主としての責任を問われ、企業の業績、信用にも影響を与える問題となりかねません。
迅速かつ適切に対応するためには、まずは、従業員が気軽に迅速に相談できる外部相談窓口の設置をすることをお勧めします。
従業員からの相談の結果、重大事案であれば、ハラスメントの本格的な調査をする必要があり、この点についても、専門家に委託することをお勧めします。
もちろん、企業内研修などを行い、日頃からハラスメント事案を予防することが大事と考えております。