【相談事例】インターネットで誹謗中傷や個人情報を漏洩被害を受けています。削除できますか?さらに投稿者に対して損害賠償請求をできるでしょうか?
■サイト管理者やテレサ書式を利用した発信者情報開示請求
・サイト管理者が任意に情報開示に応じることは稀
■サイト管理者等に対する発信者情報の開示仮処分(プロバイダ責任制限法に基づく発信者情報開示請求権)
・発信者情報請求訴訟の翻案判決を待っていてはプロバイダーの通信記録が削除される可能性があることから認められる
・申立から仮処分の決定まで約1か月超の期間が必要
・裁判管轄:サイト管理者の普通裁判籍のみ
・開示される情報は、通常、①情報発信に使用されたIPアドレス、②情報発信に使用されたポート番号、③情報が発信された年月日及び時刻(タイムスタンプ)
・削除の仮処分も同時申立をするのが通常(ただし、保全事件では併合請求の裁判籍が認められない(民事保全法6条・民訴法7条)ため、裁判管轄が異なる場合場合には同時申立て不可)
・担保額:発信情報開示の仮処分の申立のみ→10万円程度。削除の仮処分も含む場合→30万円程度
■プロバイダーに対する発信者情報消去禁止仮処分
・プロバイダーのログ保存期間:3か月~6か月の期間が多い
■プロバイダーに対する発信者情報の開示請求訴訟
・開示されたIPアドレスにより覚知したプロバイダーに対して情報の開示を求める訴訟である
・申立から判決まで約3か月超の期間が必要
・裁判管轄:プロバイダーの普通裁判籍
・開示される情報は、通常、①氏名又は名称、②住所、③電子メールアドレス、④電話番号
・判例タイムスNO1164(2005.1.15)
・裁判管轄:原則として相手方普通管轄(民事保全と同様)。ただし、合意管轄可能
・審理方式:書面審理可能。ただし、必要的陳述聴取(11条3項)
■テレサ(侵害情報の通信書兼送信防止措置依頼書)書式を利用した削除請求
・原則的な削除請求
■削除仮処分(人格権侵害に基づく差止請求権としての削除請求権、著作権侵害差止請求権等)
・テレサ書式による削除請求を拒否された場合に検討する申立て
・申立から仮処分の決定まで約1か月超の期間が必要
・裁判管轄:相手方普通裁判籍または住所地を管轄する地方裁判所(民事訴訟法5条9号)
・投稿が継続している又はその恐れがある場合には、発信者情報開示請求へ
・投稿削除後のキャッシュ削除申請も必須
■削除訴訟:削除仮処分のあとに削除請求訴訟を提起することは少ない
・プロバイダーによって開示された発信者情報(住所氏名、メールアドレス等)をもとに、発信者に対して損害賠償請求を行う
・請求できる損害:慰謝料(自然人の場合)、信用低下による無形損害(法人)、削除・発信情報開示に要した弁護士費用、損害賠償請求訴訟の弁護士費用
アダルトビデオ(AV)など他人の著作物をビットトレント(BitTorrent)を通じたアップロードによる著作権侵害を理由として、AV会社から種々の請求をされることがあります。
まずは、発信者情報開示請求に関する意見書照会書が、自宅等に到着します。
次に、裁判所が、発信者情報開示請求を認めた場合には、通常、後日、アダルトビデオ(AV)の通知書が自宅に到着することになるでしょう。
・民事上の損害賠償責任
民事上の損害賠償責任は、過失によっても認められることから(民法709条)、故意がなかったとの理由で責任を逃れることはできません。
・刑事責任
動画などをアップロードしたことについて、故意が認められれば、10年以下の懲役若しくは千万円以下の罰金に処し、又はこれを併科することがあり得ます(著作権法119条1項)。ただし、著作権侵害による刑事責任は、故意責任であり、過失による著作権侵害に対する処罰はありません。
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